ポケモンカードゲーム専門店『晴れる屋2』(以下、ハレツー)は、2023年7月7日でオープン2周年を迎えます。
ハレツーの名物店長、とり店長(渡辺 翔)は、準備期間から今まで常に最前線でハレツーの成長とポケカの普及に努めてきました。

本インタビューでは、ハレツー2周年の振り返りと、とり店長が目指すTCGの未来について語ってもらいました。

■子供がたくさん訪れるカードショップ


――ハレツー2周年おめでとうございます。まずは率直な感想をお聞かせください。

いやぁ……大きく成長しましたねぇ。

――実際どれくらい利用者の方は増えているのでしょうか?

1日あたりのお会計数はオープン当初と比べると約1.3倍に増えました。
イベントも開店当初はコロナ禍の影響でほとんど開催できませんでしたが、今では平日でも1日3回、ほぼ成立。月間延べ1300人ほどにご参加いただいています。
もちろん店舗だけではありません。通販と買取の利用件数は、スタート時よりも2倍以上に増えました。

――それだけハレツーが全国的に有名になったということですね。

あらためて日頃ハレツーを利用してくれるすべてのお客様に感謝を伝えたいです。
自分の考えた理想形は「ポケモンカードゲームに興味があるすべての人にとってアクセスしやすいポケモン屋さん」。
いろいろありましたが、皆様のおかげで少しずつ理想に近づいています。
HIKAKINさんやFischer’sさんなどYouTuberの方々が動画で紹介していただいて、ポケカに興味を持ってくれる方や、ハレツーを知ってくれる人も増えました。
また数年前まではゲームプレイがポケカの楽しみ方の中心でしたが、この2年でコレクションもポケカの楽しみ方のひとつということが認められるようになったように感じます。
好きなカードを集めるコレクションはもっともハードルの低い楽しみ方だと思いますし、コレクションしているうちにゲームプレイにも興味を持つ人も増えて……ポケカが大きくなっていく非常に良い流れだと感じています。

HIKAKINさんの動画にとり店長出演

――ではこの2年で一番変化したと感じるのはどの部分でしょうか?

一番は子供がたくさん訪れるカードショップになれたことです。

ポケカをはじめTCGの黎明期から20年以上続いているカードゲームは一般的に子供向けの趣味と思われていますが、当時遊んでいた人の年齢が上がるにつれて全体年齢も上がり、商品もそういった層に向けたものへとシフトしていっています。
カードゲーム以外にも新しいゲームやコンテンツが続々と登場していますし……。
「(将来的に)子供たちがカードゲームに触れることはなくなっていくかもしれない」
そう思っていた時期もありました。

■「憧れ」がカードゲームを次世代につなぐ

自分に何ができるのかを考えた結果、やるべきは「次の世代にカードゲームの文化を繋ぐこと」。ポケカにその光明が見えたときからハレツーにガッツリ関わろうと決めました。
カードゲームが末永く続いていくためには、新規カードゲームユーザーが増えていくことは必須です。
次世代の担い手である子供にカードゲームに触れてもらうためには、ポケカが一番。
アニメやゲームを見たことがあれば、「ポケモンはワザを使って相手のHPを減らして戦う」という、ポケカでやるべきことが伝わっているのが最大の強みになります。
そのうえでどうすれば始めたいと思ってもらえるか。その一つの回答として考えたのが、「憧れ」でした。

――憧れ、ですか。

ミニ四駆のミニ四ファイターしかり、高橋名人しかり、みなさん小学生の頃に遊んだゲームで憧れた大人っていませんでしたか?
企業の広告塔であり、業界の第一人者でもある。始めたいときに、頼ろうと思ってもらえる。
そんな憧れの存在が必要不可欠であり、その役割をこなすことができたら、今の子供たちがポケカに触れるきっかけになれるんじゃないかと考えていました。

――お店やハレツーチャンネルだけでなく、ニュースやほかのYouTuberの動画でとり店長を見た子供も多いと思います。そういったメディア戦略も、憧れの存在になる一環ですか?

その通りです。様々なメディアを通して子供たちから、「ポケカを教えてくれる楽しそうな店長さん」という評価を少しずつですがいただけるようになってきました。
ポケカ四天王やポケカYouTuberのようにスーパーヒーロープレイヤーはたくさんいるので、自分は彼らに憧れる人たちを増やす入口的な役割になれたらなと思っています。
そのためにジャッジ資格を取りましたし、配信者イベントのお手伝いもさせてもらっています。

とはいっても、まさかHIKAKINさんのチャンネルに出演できるとは思いませんでしたが……(笑)
ポケカの店長=とり店長と多くのユーザーに知ってもらえたのは、間違いなくHIKAKINさんの影響は大きいですね。

――大型大会でもよく声をかけられたとツイートされていますね。

会場でも多くの方に声をかけていただきましたし、店頭でも子供たちに「記念写真を撮ってもいいですか?」と言っていただける機会も増えました。
お店に来て「とり店長いますか?」と聞いてくれる子もいます。
自分を見かけると手を振ってくれて、手を振り返すと凄く喜んでくれて……。

今は店長として店の舵取りを行っていますが、いずれは店舗運営はほかのスタッフに任せて、もっと「お店に行ったら会えるYouTuber」として現場にたくさん立ちたいですね。

■「ポケカは始めづらい」なんてまったくない

――しかしせっかく興味を持ってくれてもパックが買えなかったり、カードが高かったりで「ポケカは始めづらい」と思っている人も多いのではないでしょうか?

実際そんなことはまったくないんですけどね。
パックについてはポケカ公式さんもかなり力をいれて供給を頑張っていますし、ウチは中学生以下限定販売というかたちでなるべく子供たちが入手しやすいようにしています。
デッキを組んで遊ぶなら1枚何万円もするカードなんて一切必要ありません。

ポケカは遊ぶことに関してはとてもハードルが低いゲームで、7月7日には550円で買える「exスタートデッキ」もあります。
「大会で勝ちたい!」という人向けにハレツーではオリジナルデッキを販売していますが、環境で活躍するガチデッキでも1~2万円で丸ごと購入できます。

自分もこういったネガティブなイメージを払拭しようと色々頑張っていますが……。関心を引くのはお金や事件が中心になってしまいますね。

でもこの前とても嬉しい記事が日テレさんから出たんです!
『大人もハマるポケモンカードゲーム 初心者が大会挑戦でブームの理由を探ってみた』というタイトルで、記者が実際にポケカを0から始めてPJS(ポケモンジャパンチャンピオンシップス 2023)に参加してみたという内容です。
ハレツーもこの企画に協力させてもらって、スタッフの吉川くんが実際に記者さんにデッキアドバイスを行いました。
ポケカ初心者という視点と記者という視点が混ざって、ポケカのカードゲームとしての面白さが伝わる素晴らしい記事でした。

■ポケカで素敵な縁を紡いでください

――いつかこのような記事が増えて、より多くの人にポケカを遊んでほしいですね。
それではあらためて、今後の目標について教えてください。

ハレツーをポケカのユーザーの増加にもっとも貢献しているお店にしていきたいです。

今ハレツーチャンネルは登録者10万人を目標にしていますが、これから増えていく視聴者の中にはまだポケカを遊んだことがない人もたくさんいると思います。
少しでもそういう人たちに楽しんでもらえるためにも店舗でポケカルール教室や初心者交流会を積極的に開催していますので、ポケカに夢中になってもらいたいですね。
もちろんアキバだけでなく、全国に店舗を増やしてポケカを遊べる環境を増やしていきたいと思っています!

――それでは最後にみなさんにメッセージをお願いします。

ポケモンというコンテンツを好きであるひとすべてに、ポケモンカードゲームを触ってみてほしいです。
集めるだけでも眺めるだけでも、とにかく楽しんでほしい。
そうやって続けていくうちに自然と同じ趣味の人と繋がれます。それはきっと今後の人生の彩りとなると信じています。
これからもポケカを通じて素敵な縁を紡いでください。
ハレツーはそれをお手伝いできるお店にしていくので、応援よろしくお願いします。

――ありがとうございました。